
夏の森の中にいると、樹上から、蝉の鳴き声が降り注いでくる。まるで時雨のように。「時雨」とは、晩秋から初冬にかけて、降ったり止んだりする気まぐれな小雨を意味する季語であるが、その頭に「蝉」の一字がつくと、たちまち夏の季語となる。響きがよく、情緒もあり、とても甘美な言葉だ。
蝉の声を街中で聞くと、茹だるような暑さと相俟って、ひどく騒々しく思えることがあるが、涼しい森の中で聞くと、かえって森の静寂さを際立てる。
「閑さや岩にしみ入る蝉の声」
突如、古の俳人の名句が脳裏をよぎり、今さらながら、なるほどなーと感心する。
日本には約30種類の蝉がいると聞くが、鎌ケ谷の森にいる蝉は主に5種類。ニイニイゼミ、ミンミンゼミ、アブラゼミ、ヒグラシ、ツクツクボウシ。ごく稀に、クマゼミの声を聞くことがある。
鳴き声と同じく、抜け殻もそれぞれに特徴的である。蝉の抜け殻を見つけてきては、子どもたちと一緒に、どの蝉の抜け殻かを当てっこするのはなかなか楽しい。
